PLAN SIMULATION // PORTFOLIO

計画シミュレーション見本帳

お店を始める前に、電卓で「未来の家計簿」を作ってみる。それが計画シミュレーションです。Third Doorが実際に会社向けに作った2本を、やさしい言葉で説明します。

未来をピタリと当てるのが目的じゃない。
「やる?やらない?いつ増やす?」を
数字を見て決められるようにするのが目的。

2実例
3コース
6ステップ
公開版について 会社名・商品名は伏せ、金額は大きく丸めています。シートの画像はぼかしてあります。見てほしいのは「組み立て方」です。
SEC.01

計画シミュレーションって何?

ひとことで言うと「お店の未来の家計簿」です。

たとえば、レモネード屋さん。
1杯200円で売る。レモンと砂糖とコップで1杯60円かかる。看板を作るのに3,000円。1日に何杯売れたら、看板代を取り返せる? これを紙に書いて計算するのが「計画シミュレーション」です。

大人のお店も、やることは同じです。「いくらで売る」「1つ作るのにいくらかかる」「宣伝にいくら使う」を決めて、月ごとに「売れた金額」と「手元に残るお金」を並べます。1つの数字を変えると、全部の数字がつながって動くので、「宣伝を2倍にしたら、残るお金はどうなる?」をその場で試せます。

この見本帳で見てほしいこと:数字の大きさではなく、「何を決めて、どう3コースに分けて、どこで"つづける/やめる"を判断するか」という組み立て方です。
SEC.02

先に覚える言葉は6つだけ

むずかしい言葉が出てきたら、ここに戻ってくれば大丈夫。

売上SHEET: GMV

売れた金額の合計。レモネードが100杯売れたら 200円×100杯=20,000円。

原価GENKA

1つ作るのにかかるお金。レモン・砂糖・コップ。送料や箱代もここに入ることが多い。

もうけSHEET: 粗利

売上から、原価や手数料や宣伝費を引いて、手元に残るお金。マイナスなら「赤字」。

広告費SHEET: 広告費 / ROAS

看板代やチラシ代。ネットでは「動画を多くの人に見せるためのお金」。「ROAS 200%」は、広告1円で2円売れたという意味。

お客さんの数SHEET: CV

買ってくれた回数。売上 ÷ 1回の値段 で出る。

売る場所SHEET: モール / チャネル

自分のネットショップ、大手モール、SNSの中のお店、など。場所ごとに「手数料(場所代)」がちがう。

もう1つだけ:松・竹・梅。「小さく始める」「ふつう」「大きく攻める」の3コースのこと。この見本帳では 梅=小、竹=中、松=大 です。
SEC.03 // CASE A

じっさいの例① 飲料の会社

短い動画で商品を売る計画。半年と1年で、いくら残るかを3コースで計算しました。

1/6まず「ゴール」と「ものさし」を決める

いつまでに、どうやって、いくら売るかを最初に書きます。そして大事なのが「ものさし」。同じジャンルで1位のお店が月にどれくらい売れているかを調べて、それを基準にしました。ゴールが夢物語ではなく、「実際にある数字」から逆算されていると分かるようにするためです。

説明とゴールのシート(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 説明とゴール

2/6今どうなってる?を「いいところ」と「足りないところ」に分ける

もう始まっている直近2か月の結果をとなりに置いて、いいところ(売れる動画の言い方が見つかった、動画を作りたい人が100人以上集まった)と、足りないところ(動画の本数が足りない)を分けて書きます。そして「お金をかけるべきことは2つ」に絞りました。①広告のお金を用意しておく、②動画の本数を増やす。

現状の整理シート(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // いいところ・足りないところ
ここがポイント:直近はまだ赤字です。でも「広告1円で2円売れる」ところまで良くなってきた。だから「これは悪い赤字じゃなくて、うまくいき始めている赤字」だと数字で見せています。

3/6動かす「ダイヤル」を2つだけ決めて、3コースにする

自分で回せるものを2つだけ決めます。ここでは「広告のお金」と「動画を作ってもらう人の数」。ほかは全部そのまま。こうすると3コースの違いが「どれだけお金をかけるか」だけになって、比べやすくなります。

回すダイヤル梅(小)竹(中)松(大)
広告のお金(月)100万円台200万円台400万円台
動画を作る人への固定のお金なしなしなし
広告1円でいくら売る目標2〜4円

4/6半年と1年で「いくら残る?」を3コース並べる

売る場所ごとに、売上・広告費・そのほかの費用・もうけを、半年分と1年分で表にします。

3コース×3期間の損益表(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 3コース×3つの期間(一番大事な表)
1年でどうなる?(目安)梅(小)竹(中)松(大)
売れた金額約1億円約2億円約4億円
残ったお金少し赤字黒字(7か月目〜)黒字(半年以内)
表から分かること:小コースは1年たっても赤字。中コースは7ヶ月目から黒字。大コースだけが半年で黒字。だから「広告は先に払う投資。勝負は7ヶ月目から。やるなら早めに大きく」という提案になりました。

5/6お金は「何に消えている」のかを見せる

売上の裏側の数(何回買われたか、1回いくらか、動画は何本か)と、お金の使い道(材料、送料、お試し品、動画を作る人へのお礼、場所代)を並べます。「なんで残らないの?」の答えがここにあります。

裏側の数とお金の使い道(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 裏側の数と、お金の使い道
表から分かること:この商品は、売上100円のうち材料と送料だけで8割を超える。ここに場所代やお礼を足すと100円を超えるので、SNSの中だけでは赤字になる商品です。じゃあどこでもうけるのか?が次の話。

6/6売る場所ごとに分けて「おまけの売上」を見る

SNSで知った商品を、大手モールや自分のショップで買う人がたくさんいます。この「おまけの売上」を別の行に分けて書くと、モールや自社ショップは送料や場所代が安いので、売上100円のうち4割が残る。SNSの赤字を、ほかの場所の黒字で取り返す作戦だと分かります。

SEC.04 // CASE B

じっさいの例② 日用品の会社

1年を4つの時期に分けて、「最初は赤字でいい。3月末に続けるか決める」と先に約束するタイプの計画です。

「前半は練習、後半が本番」と最初に言い切る

前半の目的は売上ではなく、「どの動画が売れるか」「お客さん1人につき広告いくらまでOKか」「動画は何本いるか」をハッキリさせること。そして期末に「続ける?やめる?」を数字で決められる状態にする、と一番上に書いています。

説明とゴールのシート(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 説明とゴール

商品の「強み」と「弱み」を数字で書く

大手モールでカテゴリ上位、レビューは数千件、値段は千円台。だから「つい買っちゃう値段」で「使っているところを動画で見せやすい」のが強み。弱みは、レビューで「高い」と書く人が一定数いること。クーポン(割引)を出せば売れるけど、割引した分だけ残るお金が減る。この「割引の問題」を一番大事なテーマにしました。

強み・弱みのシート(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 強み・弱み・大事なこと
ここが一番おもしろいところ。
送料は「1回の配送」ごとにかかります。3個セットでも6個セットでも送料は同じ。だから6個セットの方が、売上100円あたり約10円多く残る。「大きいセットを主役にする」ことが、もうけを出す一番の作戦になりました。

固定のお金はゼロ。売れた分だけ払う仕組み

3コースで変えるのは広告のお金だけ。動画を作る費用や運営費は0円にして、動画を作る人へのお礼も、お手伝い会社へのお礼も「売上の○%」と、売れたときだけ払う形にしました。だから3コースの「100円のうち残る額」はほぼ同じで、違うのは「どれだけ大きくやるか」と「期末までにどれだけ試せるか」だけです。

時期ごとの決めごと練習なれるのばす安定
大きいセットを買う人の割合15%30%50%70%
割引(クーポン)25%20%15%10%
100円のうち残る(広告前)約10円約17円約22円約26円
広告1円でいくら売る目標2円3円4.5円6円
表から分かること:「大きいセットを増やして、割引を減らす」ほど、1人が使う金額も残るお金も増えていく。時期が進むごとに決めごとを良くしていくので、月ごとの残るお金が「赤字 → とんとん → 黒字 → もっと黒字」と良くなる道すじを数字で追えます。

1年の結果と、月ごとの表

3コース×3期間の損益表(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 3コース×3つの期間
月別の損益表(ぼかし)
BLURRED // 公開版
SHEET // 月ごとの表(全部の合計)
表から分かること:月ごとに書くと「何月に動画を何本出して、広告にいくら使って、何人が買って、いくら残るか」が全部つながる。来月、本当の結果をこの表のとなりに書けば、「計画とどこがズレたか」がすぐ分かります。
SEC.05

作り方は6ステップ

飲み物でも日用品でも工芸品でも、順番は同じです。

  1. 01
    決めごとを書くいくらで売る? 1つ作るのにいくら? 送料と箱代は? 場所代(手数料)は何%? 割引はする? ここが全部の計算のもと。
  2. 02
    売る場所を分ける場所ごとに場所代も残るお金もちがう。まぜずに1行ずつ。「SNSで知って、ほかの場所で買う」おまけの売上も別の行に。
  3. 03
    回すダイヤルを2つだけ決める「広告のお金」と「作る数」のように、自分で決められるものだけ動かす。全部動かすと、何が効いたか分からなくなる。
  4. 04
    小・中・大の3コースにする1本の予想はかならず外れる。3本並べて「最低ここ、ねらいはここ、攻めるならここ」の幅で持つ。
  5. 05
    月ごとに書いて、時期を分ける「練習 → なれる → のばす → 安定」のように、時期ごとに決めごとを少しずつ良くしていく。「最初の3ヶ月は赤字でいい」と先に言える。
  6. 06
    「続ける?やめる?」の線を先に決める「期末にこの数字をこえていたら増やす、下回ったら止める」。計画の本当の価値はここ。
SEC.06 // YOUR BUSINESS

あなたの事業で作ると?

ものづくりや小さなブランドの場合、3コースはこう置き換わります。

梅注文が来てから作る

在庫を持たない。注文をもらってから作る。宣伝のお金はゼロ。赤字にならないけど、伸びるのもゆっくり。まず「何が売れるか」を知るためのコース。

竹少しだけ在庫+催事やポップアップ

売れ筋だけ少し作っておいて、月1回の催事や展示で手売りする。出店料が毎回かかるので、「何点売れたら出店料を取り返せるか」の線が決まる。

松宣伝+お店に置いてもらう

広告と卸先を足して、見てもらう人を増やす。数ヶ月は赤字を覚悟して、名前が知られてきたら取り返す。「続ける?やめる?」の線が一番大事なコース。

SEC.07 // NEXT

つぎにやること

むずかしい計算は全部こちらでやります。教えてほしいのは3つだけ。

30分で、あなた専用のシートを作ります

数字が分からない項目は「たぶんこれくらい」で大丈夫。あとから直せます。

  1. 今の「作るのにいくら」「いくらで売る」「送料」「手数料」を教えてもらう
  2. 売る場所とダイヤルを決めて、3コースを作る
  3. 月ごとに書いて、「続ける?やめる?」の線を一緒に決める

公開版。会社名・商品名は伏せ、金額は大きく丸め、シートの画像はぼかしています。
Third Door Inc. // BUILT 2026.09.30 // PUBLIC 2026.10.02